十勝地方の中心地《帯広》には、現在2か所しかない測候所のうちの一つがある。この《帯広測候所》の2025年2月3日21時の積雪深は9センチで、当地:山形の積雪と同じだった。それが12時間後の4日09時には129センチに達した。「一気に50センチ」でも状況が一変するような災害レベルなのに‥道東の平地に《120センチの新雪》は恐怖そのものに違いない。《風の流線》に着目すると、3日21時当時、日本海中部にあった発達中の低気圧に伴う反時計回りの風のうち、日本の東海上を南から北上する湿った風は《収束しながら十勝地方を指向》していた。それにしても帯広の積雪深が急増した3日11:30からの約3時間に何があったのか(下図参照)。また、十勝地方に発表された大雪警報以外の補完情報は、どのような内容(量的予想)だったのか(記事の最後に転載)。
3日21時および4日03時の地上天気図から要因を探ると、上空トラフの東進に対応した《上空寒気の強まり》という背景の下、新たに《三陸沖に発生した低気圧》が上述収束ラインへの水蒸気の供給を更に強めた効果が考えられる。その後、低気圧の北東進に対応して収束ラインの走向が南東-北西から東南東-西北西へと変わり、記録的大雪の峠は越えた。
■鍋底型の大型寒波、来る!
昨年の11月下旬に発表された3か月(冬季)予報の気温をおさらいすると‥12月こそ「平年より低い」ものの、1月は「平年並み」で、2月は「平年より暖かい」‥従って《春の訪れは早い》という内容ではなかったか。ところが、2月上旬の週間予想について、3日21時を初期値とする11日までの850hPa気温の平年偏差(=平年値からのズレ)は以下のように発表されている。残念ながら、自然科学的手法による《長期予報の精度は未だ低い》と言わねばなるまい。そして、このことが農事を中心とした民間伝承による天候予想が重宝される主要因なのだろう。図で、唯一札幌(北日本)のみ「ほぼ平年並み」なのは、期間中は《低気圧の中心が北海道付近に停滞する予想》‥に基づいている。今回の寒波(予想)について、その規模を500hPaの高度場で可視化すると「寒気の強さ」も「継続期間」も《大型(鍋底型)》だ(下図参照)。
3日21時を初期値とする850hPa気温の72時間予想(下図)で《2月6日21時の下層寒気の分布》を見てみる。この時、下層寒気のコアはバイカル湖の南にあり、そこから《下層寒気の谷筋》が日本海北部→北海道→北方四島付近へと《低気圧性循環》を成しつつ延びている。釧路付近に-12℃線が掛かっているが、この気温は釧路付近の「ほぼ平年値」で、北海道全体としては寧ろ暖かい。帯広を襲った記録的短時間豪雪も、雪質は重かった‥という。
今回の寒波は、雪雲が形成される日本海上に非常に強い寒気が流れ込むため、JPCZを中心とした収束ラインの走向次第では発達した雪雲が同じ地域に掛かり続ける恐れがあり、その際は大雪の範囲も偏倚した分布になるだろう。日本海側では今後一週間ほど大雪への備えを。内陸や太平洋側でも強い放射冷却に伴う低温・路面凍結・水道管の破裂などには注意が必要。
最後に、十勝地方が記録的な大雪に見舞われた時間帯の降雪量を予想し警戒を促した『大雪に関する十勝地方気象情報 第2号』を転載する。十勝の大雪は当初の予想値を遥かに超えたが、我々にとって「対岸の火事」ではない。大雪に関しては特別警報レベルが見逃されるケースもある。
| 大雪に関する十勝地方気象情報 第2号 |
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| 2025年02月03日05時55分 帯広測候所発表 |
十勝地方では、4日は発達する低気圧の影響により大雪となるでしょう。大雪による交通障害に十分注意してください。また、湿り雪による電線着雪やなだれにも注意してください。 [気象概況] |
〔最終更新:2025年2月4日21:19〕
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