2025年02月04日

大寒波のゴングは十勝へのドカ雪

十勝地方の中心地《帯広》には、現在2か所しかない測候所のうちの一つがある。この《帯広測候所》の2025年2月3日21時の積雪深は9センチで、当地:山形の積雪と同じだった。それが12時間後の4日09時には129センチに達した。「一気に50センチ」でも状況が一変するような災害レベルなのに‥道東の平地に《120センチの新雪》は恐怖そのものに違いない。《風の流線》に着目すると、3日21時当時、日本海中部にあった発達中の低気圧に伴う反時計回りの風のうち、日本の東海上を南から北上する湿った風は《収束しながら十勝地方を指向》していた。それにしても帯広の積雪深が急増した3日11:30からの約3時間に何があったのか(下図参照)。また、十勝地方に発表された大雪警報以外の補完情報は、どのような内容(量的予想)だったのか(記事の最後に転載)。

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3日21時および4日03時の地上天気図から要因を探ると、上空トラフの東進に対応した《上空寒気の強まり》という背景の下、新たに《三陸沖に発生した低気圧》が上述収束ラインへの水蒸気の供給を更に強めた効果が考えられる。その後、低気圧の北東進に対応して収束ラインの走向が南東-北西から東南東-西北西へと変わり、記録的大雪の峠は越えた。


■鍋底型の大型寒波、来る!

昨年の11月下旬に発表された3か月(冬季)予報の気温をおさらいすると‥12月こそ「平年より低い」ものの、1月は「平年並み」で、2月は「平年より暖かい」‥従って《春の訪れは早い》という内容ではなかったか。ところが、2月上旬の週間予想について、3日21時を初期値とする11日までの850hPa気温の平年偏差(=平年値からのズレ)は以下のように発表されている。

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残念ながら、自然科学的手法による《長期予報の精度は未だ低い》と言わねばなるまい。そして、このことが農事を中心とした民間伝承による天候予想が重宝される主要因なのだろう。図で、唯一札幌(北日本)のみ「ほぼ平年並み」なのは、期間中は《低気圧の中心が北海道付近に停滞する予想》‥に基づいている。今回の寒波(予想)について、その規模を500hPaの高度場で可視化すると「寒気の強さ」も「継続期間」も《大型(鍋底型)》だ(下図参照)。

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■発達する雪雲、偏倚する大雪分布

3日21時を初期値とする850hPa気温の72時間予想(下図)で《2月6日21時の下層寒気の分布》を見てみる。この時、下層寒気のコアはバイカル湖の南にあり、そこから《下層寒気の谷筋》が日本海北部→北海道→北方四島付近へと《低気圧性循環》を成しつつ延びている。釧路付近に-12℃線が掛かっているが、この気温は釧路付近の「ほぼ平年値」で、北海道全体としては寧ろ暖かい。帯広を襲った記録的短時間豪雪も、雪質は重かった‥という。

020403.png一方、広範囲にわたる《青い網掛け領域》平地での雪の目安となる-6℃以下の領域で、鹿児島(≒九州南部)を除いた本土全域を覆っている。高層気象観測をしている鹿児島に着目すると、この時期の平年気温(0.4℃@850hPa)に比べ5℃以上低い※本編の「この部分」を書いている時点で、鹿児島・愛媛・高知各県の一部には大雪警報が発表されている。

今回の寒波は、雪雲が形成される日本海上に非常に強い寒気が流れ込むため、JPCZを中心とした収束ラインの走向次第では発達した雪雲が同じ地域に掛かり続ける恐れがあり、その際は大雪の範囲も偏倚した分布になるだろう。日本海側では今後一週間ほど大雪への備えを内陸や太平洋側でも強い放射冷却に伴う低温・路面凍結・水道管の破裂などには注意が必要。

最後に、十勝地方が記録的な大雪に見舞われた時間帯の降雪量を予想し警戒を促した『大雪に関する十勝地方気象情報 第2号』を転載する。十勝の大雪は当初の予想値を遥かに超えたが、我々にとって「対岸の火事」ではない。大雪に関しては特別警報レベルが見逃されるケースもある

大雪に関する十勝地方気象情報 第2号
2025年02月03日05時55分 帯広測候所発表

十勝地方では、4日は発達する低気圧の影響により大雪となるでしょう。大雪による交通障害に十分注意してください。また、湿り雪による電線着雪やなだれにも注意してください。

[気象概況]
日本海西部にある低気圧が4日にかけて発達しながら北海道付近に近づき、6日頃にかけて日本海北部で動きが遅くなるでしょう。また、別の低気圧が3日から4日にかけて日本の東を発達しながら北東に進む見込みです。

[雪の予想]
3日6時から4日6時までに予想される24時間降雪量は多い所で、
  十勝北部 30センチ
  十勝中部 40センチ
  十勝南部 50センチ
その後、4日6時から5日6時までに予想される24時間降雪量は多い所で、
  十勝北部 15センチ
  十勝中部 15センチ
  十勝南部 15センチ
ピークは、4日未明から明け方

[防災事項]
十勝地方では、発達する低気圧の影響により、4日は広い範囲で大雪となるでしょう。大雪による交通障害に十分注意してください。低気圧の進路や発達の程度によっては、警報級の大雪となるおそれがあります。また、湿り雪による電線着雪やなだれにも注意してください。

[補足事項]
今後発表する防災気象情報に留意してください。
次の十勝地方気象情報は、3日夕方に発表する予定です。




〔最終更新:2025年2月4日21:19〕
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2024年06月05日

逆位相が阻んだ梅雨入り

今年(2024年,令和6年)は台風1号の発生も遅かったが、梅雨入りも遅れている‥と言われる。そんな中、東日本から北日本では5月末から6月4日頃(北海道では5日も)にかけて上空寒気に伴う不安定な天候が続いた。数日続く不安定な成層状態については《雷三日》を伴うことが多いが、6月3日には長野県内で《降雹(こうひょう)があり、収穫期のレタスに穴が開くなど農作物への被害が報告されている。事実、《降雹》《雹害》が多いのは初夏の6月頃(5~7月)で、特に収穫期と重なる農作物は短時間の降雹でも壊滅的な打撃を受ける。例えば、当地:山形の特産品である《サクランボ》も6月が収穫期だが、2019年6月5日の《雹害》では6億4000万円の甚大な損害を被った


■逆位相とブロッキング

下図は長野県内に雹害があった2024年6月3日の北半球500hPa高度図である(JST:21時)。日本付近は樺太にある《寒冷低気圧》から延びるトラフおよびマイナス15℃のサーマルトラフに入り、特に北日本にはマイナス18℃のコンターが掛かっている。秋田の観測値はマイナス17.3℃で、平年値より約3℃低かった。寒冷低気圧の北には高高度場が嵌入し《リッジ》を形成している。このように、ほぼ南北の位置取りで『北に高気圧、南に低気圧』という本来とは逆の高度配置になったパターンを《逆位相》と言う。

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北緯40度(ピンクの円)に着目して北半球全体を俯瞰すると《逆位相パターン》に起因する日本付近への寒気の南下がよく解るだろう。一方、緑の矢印(⇒)は日本付近の気流場を表しているが、中緯度に象徴的な西風(偏西風)が逆位相に伴い《気流が南北に分流》した様子が明瞭になっている。気流の分流によって西風場から切り離された寒冷低気圧は1週間近くにわたって日本付近に殆ど停滞し、短時間強雨や落雷・降雹などの不安定な天気をもたらし続けた。寒冷低気圧は東西流場から切り離されることが多く、気流場の観点から《切離(カットオフ)低気圧》と呼ばれることもある。この高層天気図では他に北アメリカにも逆位相パターンが認められ、分流型》による東西流場の阻害‥いわゆる《ブロッキング状態》に在ることが解る


■分流型ブロッキングと梅雨入り

下図は山形県内でサクランボが大打撃を受けた2019年6月5日の前夜に相当する6月4日21時(JST)の北半球500hPa高層天気図である。前章の予備知識があれば、当時の日本付近も東西流場が阻害されたブロッキング状態に在った‥と容易に理解できる。なお本図に特徴的な高高度場の嵌入は《南北流型》を呈している。

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ここまで読むと《ブロッキングは初夏の風物詩?》との印象が強まる。そのあたりを1991~2020年《30年平均》高度場に基づいた5月31日~6月4日(=第31半旬)の北半球500hPa高層天気図で見てみる【下図】。本図によると、日本の北北西(沿海州からシベリア東部付近)に《西風(偏西風)の分流》が認められ、日本付近は《トラフの前面》に位置している。《平年図》が「この状況」なのだから、この時期の「雷三日」や「雹害」については『初夏に遭遇し得る気象現象』として特に農業へのセーフティーネットが必要だ

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また、本図の《カスケード的なトラフ配置》から導かれる地上天気図上の擾乱として、ベーリング海の低気圧に始まり、日本の東海上に中心を持つ低気圧を経て中国華南へと伸びる《長大な梅雨前線》の存在を避けて通れない。今回はたまたま逆位相のトラフが深かったので梅雨前線の北上を免れることが出来たが、この深いトラフもゆっくり東へと去りつつあり、来週の後半以降は前線帯の北上に対応し、続々と梅雨入りするだろう。あ~やだやだ。


〔最終更新:2024年6月5日18:53〕
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2024年01月15日

新旧能登半島地震と門前アメダス

《門前アメダスの観測休止は19日13:10頃に解消》令和6年 能登半島地震から2週間が経過した。被災者への二次避難先も次第に多様化し、大家族用・ペット同伴者・高齢世帯・障害者‥など被災者の特性に見合った避難先が提供されつつある。今回の激甚被災地では地震計や気象計も被災したが、石川県内では気象庁雨量観測所の《門前アメダス》《舳倉島アメダス》観測休止の状況になった(*)。このうち前者が置かれている輪島市門前地区は沿岸の海底が約4m隆起するなど、今回の地震による地殻変動の爪痕が特に大きく、本震時の震度についても門前地区は《未入電》だった。(*)門前アメダスの観測休止については19日13:10頃に解消している


■元日16:10の観測記録を最後に‥

元日16:10頃の本震では上述の輪島市門前町走出(旧門前町役場)の他、能登町柳田および松波の震度が未入電であったが、周辺に設置の地震計はいずれも震度6以上相当の計測震度を観測した。輪島市門前地区内にある気象庁の《門前アメダス》は被災当日16:10の観測記録を最後に入電が途絶し、19日13:10頃に解消した[下図参照]。

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輪島市門前地区は元は鳳珠(ほうす)郡門前町で2006年2月の合併で輪島市となったが、文字通り曹洞宗大本山總持寺《門前街》である。總持寺は明治後期の焼失を機に本山の機能を横浜鶴見に移転し、門前町の伽藍は『總持寺祖院(そいん)と呼ばれ現在に至っている。この祖院は2007(平成19)年3月の能登半島地震(M6.9)において全ての建物が傾くなど大きな被害を受けた(2007年の地震では門前走出の計測震度6.4が被災地内の最大値だった)。漸く令和3(2021)年4月に復興(落慶式)を迎えることが出来たものの、再興から3年も経たない令和6年元日に再び能登半島地震(M7.6)に被災し、伽藍倒壊など甚大な被害を受けている※(再掲)令和6年の能登半島地震では門前走出の計測震度は未入電.

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1976年に雨量の観測を始めた門前アメダスは2007年3月25日の《平成19年 能登半島地震》では観測休止には至っておらず、改めて《令和6年 能登半島地震》の揺れの激しさ(ダメージの大きさ)を物語っている[推計震度分布図を参照のこと]。

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計算上《令和6年 能登半島地震のM7.6》では、《平成19年 能登半島地震のM6.9》11倍もの地震波エネルギーが放出されたことになる。


〔公開:2024年1月15日14:36〕
〔最終更新:2024年1月21日16:00〕
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2024年01月09日

能登地震への提言

【追記あり】2024年1月1日16時11分、筆者の携帯に着信した緊急地震速報は『能登半島沖で地震、強い揺れに注意』だった。この一文だけで『能登で起こり得る最大規模の地震が発生‥と容易に察することが出来た。程なく当地:山形にも到達した長周期の地震波は部屋から見える高層マンションの上層階を大きく揺すり始めた。北陸に大雪をもたらしたクリスマス寒波から約1週間後の元日‥すなわち帰省期間の中日という《域内人口が最大となるタイミング》を襲った《激震と大津波》は、TPOをはじめとする諸条件が被害をより甚大にしている。


■『本震』‥陸地と沿岸に跨る震源域

日本海を震源とする地震で最もマグニチュード(地震の規模)が大きいのは日本海中部地震(1983/5/26)のM7.7だが、M7.6(暫定値)の《令和6年 能登地震》は震源域の一部が奥能登丘陵と重なっており《奥能登直下地震》の性格も持ち合わせている(図参照)。本格的な地盤調査等が始まれば奥能登に地震断層(=地震を引き起こした断層)の一部が見い出されるだろう。特に、本震で震度7を観測した志賀町の《K-NET富来》は地震断層に極めて近いはず‥と個人的には考えている。

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本震後まもない余震域(上図)を見ると、本震の震源域は震央を含む北東-南西走向の100~150㎞の範囲であることが判る。下図に記された《震央》は本震のグランドゼロであり、ここを始点に北東方向および南西方向に複数の地震断層が連動してズレ動いた。また、海域(北東側)の地震断層は陸地から極めて近く、大津波は発震から間もなく半島沿岸に到達してしまった

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■『地震波』‥瓦屋根の家屋にダメージ集中

能登地方に限らず、沿岸部家屋の大多数は潮風に強い重厚な日本瓦(一枚あたり約3キロ)を乗せた瓦屋根の木造家屋で占められるが、《屋根の重量》は建造物の耐震性に直結する重要な要素。例えば、屋根が重くなるほど建造物の重心は高くなり、地震動による倒壊リスクが増す。一般に瓦屋根は、同じ面積の金属鋼板(トタンやガルバリウム)屋根の10倍の重量になる。

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K-NETで観測された輪島・珠洲・志賀・穴水にある各地震計の加速度応答スペクトルは~2秒までの短周期に富み木造のような低層家屋への影響が大きかったことを示唆する。これに符合するように全壊家屋の多くは瓦屋根に圧し潰されたように倒壊(圧壊)していた。加えて輪島や珠洲の中心市街は、両市内に置かれた地震観測地点に比べ軟弱な地盤で、報道で発表された震度よりも大きな揺れに見舞われていた可能性が高い。


■『T(起時)』‥故郷の人口が最も多い元日に

《4年に及ぶコロナ禍》を乗り越えた最初の年末年始は、何処も『コロナ前の人出に戻るのでは‥』との期待感に満ちていた。能登に限らず《元日の故郷》は帰省した家族で大いに賑わっていた。しかし、却って元日であったことが能登地震の人的犠牲を拡大させている。犠牲者には帰省中の若者や子供の年齢も散見され、帰省の有無が判然とせずメディアが発表する安否不明者数も増減を繰り返している


■『P(場所)』‥半島ゆえのウィークポイント

元より半島の先端部は陸路による交通アクセスが悪い。しかも石川県は、宝達丘陵や奥能登丘陵を中心に《破砕帯地滑りの危険地帯》を多く抱える土地柄で、特に奥能登付近は丘陵が日本海に切れ落ちているため《急傾斜地》も多い。本震後の半島では、急傾斜地をトラバースするように敷かれた主要道が土砂崩れや亀裂・陥没により至る所で寸断。輪島・珠洲の中心市街すら孤立化の危機に晒された。

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被災当初は陸路の寸断をカバーするため《海路からのアクセス》も期待されたが、救援物資を荷揚げる港も大津波に被災しており、港から避難所への陸路も段差や倒壊家屋などで塞がれていた。《地震による海底隆起》によって船の入港が困難になった漁港もある。

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『トイレ、燃料、水‥』などは避難所の多くが直面する不足物資だが、アクセス障害が解消しない奥能登の各避難所にあっては物資の供給ペースが上がらず、避難者の低体温症や衛生環境の悪化に伴う持病の悪化(⇒災害関連死)が危惧されている。未だ孤立化の解消に至っていない地区集落も多く、被災から1週間以上経過しても被害の全容は見えていない


■『O(場面)』‥地盤は水分を含み緩んでいた

今冬最初の寒波は昨年12月20日頃から西回りで始まり、特に北陸にはJPCZに対応した《帯状の雲》が掛かり、能登地方も大雪に見舞われた。輪島では22日に60センチの最大積雪深を観測し、20~26日の総降水量は200ミリ近くに達した。奥能登では本震の激しい地震動によって水分を含んだ傾斜地が液状化し、土砂が粥状となって崩落した事例もあった。

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冬の能登半島は雨と雪が交互に降るという。雨は土壌へと浸透するが積雪は水分を地表に止める。この板挟みが融雪期に地滑りが起こりやすい原因の一つだ。今後も断続的な雨や雪が続く中、震源域の奥能登では直下で発生する強い揺れの地震も続く。


■『提言』‥被災者は「域外」への一時避難を

《真冬の避難所生活》では、寒さと密集さらに衛生環境の悪化などによる《感染症の流行》が懸念される。地元のケアワーカーたちも被災者であり、働き詰めで精神的にも肉体的にも限界だろう。《水道》をはじめとするライフラインの復旧にもメドが立っていない。何より避難者数は2万人を遥かに超えており、石川県内だけで抱え続けられる数ではない。被災者には、ひとまず《域外への一時(つまり「二次」)避難》を強く勧めるべき。自治体が運営しているアパートの空き室など、被災者の希望があれば全国規模で移り住んでもらえば良い。特に東日本大震災を経験した東北熊本地震を経験した九州などには重層的なノウハウがある。柔軟な対応が求められているのは、むしろ《被災地の外側》


※本編は1月9日までに報道発表された内容に基づいて私見を述べています.
〔最終更新:2024年1月9日22:33〕
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これより追記
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2023年08月25日

全層にわたって暑い北日本

当地では小中学校の始業式(8月18日か21日)の頃合いを見計らったように最高気温(Tx)の上昇が始まった。暦の上では残暑が終わるとされる《処暑(8/23)》を過ぎたが、《10分値グラフ》は7月下旬のような気温推移を示している。

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気象庁が発表する8月21日~24日のランキングを見ると、《日Txの顔ぶれ》は日を追って西日本勢が姿を消し、代わって東北電力管内の日本海側地域で占められて行くのが分かる。※東北電力管内‥東北6県および新潟県082501.gif
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観測値は露場に設置の《通風筒内部(日蔭)の気温》であるから、15時頃、炎天下を下校しなければならない小中学生は命懸けだ。地方に顕著な《少子化に伴う小中学校の統廃合》により、私たちの世代より遥かに長い距離を通学している児童生徒がいることを忘れてはならない。事実、山形県米沢市では夏休みの部活動から帰宅途中の女子生徒が熱中症で亡くなる事故が発生(7/28)し、県民は大きな衝撃を受けた。


■猛暑が北日本に集中する理由

猛暑の原因としてメディアが好んで使いたがる用語に《フェーン現象》がある。しかし元より、夏の日本には南東モンスーンが吹くのだから、脊梁山地(中国山地,中部山地,奥羽山脈‥)の風下に位置する日本海側の低地が高温に見舞われるのは自然な事象であり、特に今回のような《広範囲の猛暑》には別の要因がある。以下に8月23日21時の各層の天気図を示す。

下図は対流圏上層200hPaの高層天気図。日本付近はチベットから張り出す高圧部に覆われている。樺太の北に亜熱帯ジェットの強風軸があり、その位相に対応して日本付近はリッジ場の様相を呈している。この日時の秋田上空200hPaの気温は-49.9℃(平年値-51.2℃)である。

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下図は対流圏中層500hPaの高層天気図。日本付近は太平洋から張り出す高圧部に覆われており、特に東北地方と東日本・北海道の一部には最も高い5940mが掛かっている。同様に中部日本以北は-3℃以上の高温域に入っている。例えば、23日21時の秋田500hPaの気温は-1.9℃だった(平年値-6.2℃)。

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下図は対流圏下層850hPaの高層天気図。高温域に網掛けを施したが、新潟県から北海道釧路にかけて21℃以上の暖域核が形成されている。例えば22.6℃(平年値16.2℃)の秋田の場合、850hPaと地上との高度差を1500mとして気温減率(0.65℃/100m)を乗じ、22.6℃を加えれば計算上の地上気温は32.4℃となる。実際の秋田地台地表の気温は31.6℃で、海風などを考慮すれば良い対応と言える(夜9時の気温であることに留意)。

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以上のように、北日本の上空は《全層にわたって気温が高く風が弱い。特に中層および下層では《平年より5℃程度気温の高い状態》が続いている。また、いずれの等圧面も高圧部に覆われているため、《平野部や盆地などの上空には雲が出来づらく、既に早朝から強い日射による加熱が始まっている。これだけの条件が揃っていれば《猛暑の要素》としては十分だろう。同様の気象状況は今日(8月25日)も続く

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仮に‥このような状況に(本当の)フェーン現象が加勢すれば、局地的に40℃を優に超える記録的な高温が生まれるのだろう。


〔最終更新:2023年8月25日09:38〕
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2023年08月04日

花笠パレードと土砂降り

【追記あり】山形の夏の風物詩:山形花笠まつり(8月5~7日)は《会期内の何処かで土砂降りを見舞う‥》と言われ、3日のうち少なくとも1日は旧中心街の壮観な花笠パレードを《夕立》が襲撃するらしい。一方、当地に生まれ育った筆者などは、遠来の客人をもてなす以外に花笠パレードを観たことはなく、花笠‥と言えば『酷く暑かった』との記憶しかない。とはいえ8月になり、15時を過ぎると下図の如く《バケツをひっくり返したような雨足》が散見できるくらい、成層は不安定な状態になっており、今年も《土砂降りの経験則》は果たされそうだ。

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8月に入って顕在化してきた当地の成層不安定は北海道に停滞する前線(まだ立秋前なので個人的に梅雨前線と言いたい)に関係している。この前線に向かって西南西から345K@850hPaの暖湿気が流入している。今後、台風6号(T2306,Khanun)の東進に対応して台風周辺の《南よりの暖湿気》も流れ込んで、東北の蒸し暑さは更に苛烈さを増す。連日の《熱中症警戒アラート発表》が示唆するように、東北の夏祭りツアーは熱中症と隣り合わせだ。


■晴れれば照りっ放し、降れば降りっ放し

下図は8月3日21時の500hPa図。台湾の北東に解析されている暖気核を伴った低気圧が台風6号。赤い網掛けはサブハイで、台風6号はサブハイにめり込んだまま殆ど停滞していたが、関東の東海上に解析された低気圧によるサブハイへの虫食い穴を利用して、台風6号は東へと動き始めるだろう。台風の動きに対応して西日本の太平洋沿岸は南からの暖湿気流入が強まり、この山越え気流が下りる日本海側の低地ではフェーン現象による猛暑》長く続くようになる。

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一方、停滞前線が掛かる北海道の東には上空の気圧の谷(トラフ,図示)があって、対応する地上天気図上には低気圧が解析されている(図略)。今後、北海道では対流活動が活発になり、大雨の恐れがある(最新の情報入手に留意)。バイカル湖の南には-6℃のサーマルトラフ(図示)があって、今後の消長に留意すべき。長期的に見れば、サブハイの後退に対応し、この前線帯はゆっくり南下する。お盆頃には東北地方にあるかも知れない。



〔最終更新:2023年8月4日10:00〕
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2023年04月30日

献血者全員が問診時に体重測定へ

【追記あり×2】献血ルーム(移動しない固定施設)では、明日(2023年5月1日)から全てのドナーを対象にした体重測定が始まる。元より、採血基準は『循環血液量の12%以内』と説明され、循環血液量の近似式は体重×1/13》だから《正確な体重の入力は必須》だ。一方、ルームで計測する体重には着衣や履き物の重さも含まれるため、たとえ補正しても体重はアバウトの域を出ない。それでも「測定する」というのだから《アバウト以上の鯖[サバ]読み》---つまり体重の過少・過多申告が潜在しているということか‥


■5月1日から始まる体重測定の方法と目的

スクリーンショットにある通り、ルーム(成分献血会場)などの固定施設では2023年5月1日(月)から事前問診での体重測定が始まる。ルームの看護師に訊いたところ、事前問診のブース床に体重測定用のプレートが置かれ、そこに靴ごと乗って重量を測定し、一律1.5キロ減じた値を「体重」とする。

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上掲スクリーンショットのリンク先には‥
献血会場では、献血にご協力いただく際、体重の確認をさせていただき、ご申告または必要に応じて測定をお願いしておりました.今般、献血にご協力いただく全ての方に、体重測定をお願いすることとしましたので、お知らせいたします。体重は1日の中でも変動を繰り返しており、活動内容によって左右されます。献血前に測定をさせていただき、測定値をもとに献血種別の選択、適正な採取量を算出することでより安全に献血いただけますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします.
‥とあり、これまでも一部のドナーには体重測定を実施してきたようだが、あいにく筆者は目撃したことがない。対応はケース・バイ・ケースゆえ、施設スタッフの判断にはバラつきもあるだろう。


■体重の過少申告は体面的な嗜みとして慣習化

成分献血における採血量は600ml以下(循環血液量の12%以内)》とされている。筆者は以前、CCSによる成分献血終了後に採血量をモニターで確認したことがある。その時に採った血漿は571㏄だったから、事前問診で自己申告した体重は62キロくらいだったのだろう。

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献血前に体重測定を義務づける必然性について、読者各位のイメージに真っ先に浮かぶのは「女性ドナーによる体重の過少申告---つまり自身の体重を実際よりも過度に少ない値で申告すること」ではないだろうか。例えば、体重60キロのドナーからの採血量は《554㏄以内》になるが、それを55キロと過少申告した場合の採血量は《508㏄以内》になり、5キロの鯖読みが約50㏄---つまり10%近い採り零[こぼ]し(=本来採れた量の空振り)を招く。女性にとって《年齢や体重の鯖読み》は体面的な嗜み‥かも知れない。しかし、もし多数のドナーが上述レベルの鯖を読んで成分献血に臨んでいたとすれば、血漿成分の《採り零し量》の年総計は莫大だ。血漿分画製剤の需要が高まっている中‥エゴの介在が採血効率の足かせとなる。


■下限体重を満たさないドナーの過多申告

献血の採血基準には年齢などの他に『体重』の項目があり、400㏄全血では男・女とも50キロ以上、成分献血では男:45キロ以上、女:40キロ以上のような《下限》が定められている【下図参照】。筆者含め圧倒的多数のドナーは「気にしたことすらない数字」だろうが、華奢で体質的に体重が増え辛いドナーにとっては《恨めしい関所》に違いない。

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筆者が利用しているルームにおける体重の自己申告はテンキーで直接入力する簡便な手法だった。『人の役に立ちたい‥』との思いは(筆者の眼には)若い女性に強いように映っているので---例えると、本当は38キロの女性ドナーが41キロと過多に自己申告することは至って容易である。この時、眼力のある受付職員が『念のため体重を測ってもらえませんか?』と要請すれば女性ドナーの企みは水泡に帰す。だが、全国の施設が同様の対応を執るのは困難で、少なからず見逃し事例》が出る。基準体重を満たさないドナーからの標準的な採血は副反応のリスクを高め安全性を欠く


■ドナーは患者のサポート役に徹する

明日から始まる献血ルームでの体重測定により、体重の過少・過多申告は機会を失い、採血基準に対する公平性も担保されるようになるだろう。ただ、一部のドナーは《(真実を)知られたくない権利》を盾に献血を回避するかもしれない

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《献血》のメインキャストは《輸血を待つ患者》であり、供血する我々ドナーや血液事業に介在する日赤職員はサポートメンバーにすぎない。エゴによる主客転倒を制する意味でも、運営サイドには体重測定の実施に至った説明を尽くす必要があるように思う



〔最終更新:2023年4月30日12:58〕
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2023年01月24日

寒波を支える傾圧場の行方

【追記(捕捉/続報)あり】メディア報道や気象庁会見による注意喚起の影響により、当地でも俄かに『‥10年に一度‥』が挨拶言葉になっている。つまり、普段は降らない地域で「10年に一度」なら『いったい山形はどうなってしまうのだろう‥』という主旨のようだ。早速、1月24日11時(JST)の可視画像を見ると日本海は筋状雲に覆われていて、大陸との離岸距離の短さは寒気の強さを物語っている【下図参照】。

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日本海北部とオホーツク海には低気圧があって、まもなく一つにまとまり中心気圧は台風並みに深まる。朝鮮半島の付け根から南南東に延びる帯状雲はJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)に対応するが、この走向は隠岐諸島の西方海上にある小さな低気圧付近から東に向きを変え、若狭湾を経て北陸地方や新潟県に掛かっている。これらの地域には特に発達した雪雲が次々に流れ込むので短時間のうちに積雪が嵩み、大規模な交通渋滞が発生する恐れがある。


■高度場に見る寒気団の規模

下図は東経135度子午線上における500hPa高度の時間的な推移を描いたもの。これにより、昨年のXmas寒波と現在襲来中の寒波(予想値を含む)との規模の比較が容易になる。

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現在西回りで襲来している寒気は、図では楔(くさび)のように鋭く、これ自体は25日を「底」として抜ける見込みだ。留意すべきは、その後も続く寒波の「息の長さ」。特に29日以降はアンサンブルのばらつきが大きく、未だ判然としない。

次は25日(水)21時の予想天気図。図中の中緯度地域を俯瞰すると東から‥海上の高気圧→低気圧(低圧部)→大陸の高気圧‥の順に並んでいるが、このうち海上の高気圧は殆ど停滞している背の高い高気圧で、低気圧(低圧部)の東進を妨げ、引き続きオホーツク海上に停滞させる見込み。これに対応して北日本の風の強い状態は暫く続くと予想される。

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■傾圧的構造による刺客(上空トラフ)の醸成

先述の通り、オホーツクから北日本にかけての低圧部は解消しそうにないので、今後しばらくは大陸に常在する《冬の高気圧》との間で《西高東低の気圧配置》が維持されるだろう。下図は23日21時の北半球500hPa高層天気図だが、中央アジア・カスピ海の北に5700mの高気圧が解析され、その東に新たなトラフが形成されている。おそらく28~29日以降の寒波はこのトラフ絡みになる。このように、中央アジア付近のリッジ(高気圧)と下層寒気は傾圧的に互いを維持し合っているとみられる。その仕組みは‥

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カスピ海北方のリッジ場は、西シベリアの地上高気圧が西に傾きながらつながる渦管的な構造を持っている。放射冷却によって強化された下層寒気は地上高気圧の前面より北西風として南下するが、そこには傾圧的構造の2次循環による《鉛直的な寒気移流》も加勢している。一方、チベットによって南下を阻まれた(≒散逸を免れた)西シベリアの地上高気圧後面を北上する下層寒気は、負の渦度移流として上層リッジの維持に貢献している(追記の附図を参照)。


さて、冒頭の挨拶言葉に話を戻す。とりあえず《10年に一度》なのは《低温》のようだが、(これでも)日本は広いので須らく10年に一度レベルに冷え込むとは考えづらい。例えば北海道・陸別が10年に一度レベルとなればマイナス30℃台は避けられないが、風雪の天候時には実現しないだろう。多くの場合、低温極値が更新される気象条件は上空トラフが抜けた後の晴天弱風に伴う放射冷却効果の顕在時が圧倒的だ。むしろ北日本では、26日以降の冬型気圧配置の継続に伴う大雪の方が懸念される



〔公開:2023年1月24日12:15〕
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2023年01月07日

西目の斜面崩落から1週間‥

住民2人が犠牲になった山形県鶴岡市西目字斎藤の崖崩れ(昨年12月31日未明に発生)は1月7日で発生から1週間が経過した。抉ったような崩落面は深層崩壊の関与》を示唆するが、赤茶けた(地質鉱物屋は「腐った‥」などと表現する)風化帯の素因的様相は新第三系中新統を想起させる。今回の被災区域に関し‥半世紀前に山を開削した宅地造成地であること、土砂災害警戒区域であること、先月は記録的な雨量だったこと‥などの誘因に注目が集まっているが、避難から1週間になる被災住民の帰還の行方などキー局が報じないニュースも多い。鶴岡市では2009年にも大規模な地滑り災害が発生し、この時は被災集落が解散している(後に詳述)。

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本編では被災地の「西目(にしめ)」や急傾斜地の崩壊、更に土砂災害の誘因を時系列で整理してみる。おそらくキー局の報道では語られない意外なモノが見えてくるだろう。


■近代文士と『西目』の関わり

西目は鶴岡市街地の西部(=日本海寄り)に位置する田園地帯で旧西田川郡上郷村に相当する。最寄り駅はJR羽越線の羽前水沢駅。戦時中の西目には《小説の神様》と称された横光利一(よこみつりいち,本名としかず,1898‐1947)が疎開していた。西目には横光の文学碑(東源寺,公民館など)がある。
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横光利一の推薦によって文壇デビューを果たした森敦(もりあつし,1912‐1989)は、鶴岡市大網地区の七五三掛(しめかけ)集落を舞台にした小説『月山』で1974年に芥川賞を得た。その後、七五三掛集落は米アカデミー賞受賞映画『おくりびと(2008年)』のロケ地としても知られるようになったが、直後の2009年に冒頭で述べた大規模な地滑り災害に被災し集落は解散した

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森敦の長編小説『われ逝くもののごとく(1984‐87初出,野間文芸賞受賞)』では、「西目」は次のように登場し、作品では大きな役どころを果たしている。

「だれだや、孫さそげたに恐ろしい話して聞かせたのは」
「に、に、西目だ」
「西目?西目のだれだや」
西目はすでに述べたように西の羽黒と呼ばれた荒倉山を背負う霊場であり、いまも東源寺という寺があって、大仏様が祀られている。
               ‥森敦『われ逝くもののごとく』1987年,講談社刊より
土砂災害に見舞われた西目そして七五三掛は、横光利一と森敦‥日本の近代文学を彩った師弟の逗留地でもあった



■急傾斜地の崩壊について

西目の土砂災害(崖崩れ)については既に多くの空中撮影画像が使用されている。国土地理院所有の航空写真では、1960年代前半の開削前の丘陵(「丸山」と呼ばれていたらしい)から宅地造成後の様子まで閲覧することが出来る。専門家による現地調査では「風化岩盤」,「降水」,「深層崩壊」,「二次災害」‥などのキーワードを用いた解説があった(八木浩司山形大学名誉教授)。以下に筆者が作成した表層崩壊と深層崩壊のイメージ図を示す。
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急傾斜地の崩壊には《崩れ易い要因(素因)》と《崩す恐れのある要因(誘因)》がある。表層崩壊では風化が表層に止まっていることが多い一方、深層崩壊では岩盤の風化や変質が深部に及んでいる。深部崩壊を起こし易い地質としては中国地方の真砂土(花崗岩が風化したもの)が知られるが、東日本の日本海側も新第三系中新統凝灰岩の風化物などに厚く覆われている。余談になるが、斜面崩落のあった西目の南東‥JR羽前水沢駅の近くに水澤化学工業株式会社の創業地がある。主力製品は水沢で採れる酸性白土を原料とした活性白土。酸性白土鉱床は凝灰岩が続成作用などでベントナイト(粘土)化し、更に風化残留して生成したと考えられている。従って素因の観点では‥(西目一帯は)急傾斜地であれば何処で崩壊が起こっても不思議ではなかった‥と言えるだろう。

誘因の最大要因は12月の降水+融雪水に尽きると思う。被災地に最寄りの鶴岡アメダスの観測によると、12月の降水量は501ミリで、同アメダスの12月史上1位である(2位は1980年の443ミリ)。中下旬には大雪があり市内低地も積雪したが、28日の温かさで殆どが融雪した


■崩落地‥土砂災害警戒区域としては“後発組”

メディアのネット記事を読むと『被災地は50年前に掘削された場所‥』のような文言が多い。山形新聞の記事によると掘削され均された場所には最初モーテルが建ったという。被災場所は国道7号線に近く、もしネオン看板などがあればよく目立っただろう。その後、モーテルが撤退し地権者が変わり、宅地用に造成し直したらしい。

更に記事を読み進むと『‥被災地は土砂災害警戒区域だった』とある。この部分については驚くに値しない。斜面崩壊の影響を受けた被災地の全てまたは一部が土砂災害警戒区域に含まれるのは、むしろ自然なこと。特別警戒区域にも警戒区域にもなっていない場所で土砂災害が発生した場合の方が、はるかに大きな問題。

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むしろ筆者が注目したのは、西目の崩落斜面が土砂災害警戒区域に指定された時期だ。土砂災害警戒区域は、2001年4月に施行された土砂災害防止法に基づいて調査・公表されるので年々増加する傾向がある。このうち西目の被災地が警戒区域に指定されたのは2009年9月だった。山が掘削されモーテルが建った時でもなければ、宅地が造成された時でもなく、むしろ「ノーマーク」だった。時系列的には、同市七五三掛で大規模な地滑り災害が発生した直後だったのである。おそらく地滑り災害を受けて県内全域の基礎調査が強化されたのであろう。

2009年9月以降の《誘因に資するイベント》として、2019年6月18日に山形沖を震源とするM6.7‥最大震度6強の地震が発生している。気象庁の推計震度によれば西目付近は震度5強の揺れに見舞われている。同地では東北地方太平洋沖地震(M9.0)での震度4を上回る、おそらく新潟地震(1964年)以来の強震だったはず。



■崩壊後の斜面は不安定度で、危険な状態が続く

一般に急傾斜地とは30度以上の勾配を有する場所を示す。30度‥三角定規で見れば最も緩い傾斜だが、例えば蔵王温泉スキー場では『横倉のカベ』が30度以上に相当する。ゲレンデ・トップに立つと「ほぼ垂直」に感じ足がすくむ。

西目の現場は土砂が崩落したことによって上端付近の傾斜が崩壊前よりも更に急傾斜になり、不安定度は増している。専門家の現地調査では山頂付近に新たな亀裂も見つかったという。6日の第9回対策本部会議では西目字斎藤地区の6世帯18名の避難指示が継続となった。発災以降、避難住民の市内ホテルへの滞在も1週間が過ぎた。亀裂の伸縮モニター設置や地質などの調査の全ては「これから」で、その後の対策工事等を含めると数か月単位の避難生活は避けられそうにない。


〔初出:2023年1月7日17:00〕
〔最終更新:2023年1月11日11:00←ラベルの整理〕
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2022年12月22日

傷癒えぬままXmas寒波へ

【追記あり】12月18日以降の《大雪による被害》は、日本海に形成されたシアライン(JPCZ:日本海寒帯気団収束帯)上の発達した雪雲が掛かり続けた《山形最上(もがみ)・福島会津そして新潟中越および佐渡》などに集中している。これまでもJPCZが関わる大雪では《局地的な短時間豪雪》になることが多かったが、その特徴的被害は「通行車両の立ち往生」や「大規模停電」だ。特に後者は《湿った大雪》による倒木の処理に時間を要し、通電復旧のないまま22日以降のXmas寒波へと突入する

◆本編と関連の深い過去ログ◆

今回の大雪で停電が続いている地域の多くは東北電力(東北6県と新潟県)の管内。山間部の倒木等による小規模集落の孤立型停電の場合、その処置には山林の持ち主から伐採許可を得るところから始まり、工程の決定→機材の搬入→伐採等を経て通電が回復するまでには長い時間が掛かる(市街地停電のようには行かない)。


■「JPCZ放雪銃」の特徴

12月20日07時における日本海側の主な積雪観測地の積雪(単位:センチ)をみると‥青森鯵ヶ沢14、青森深浦9、秋田9、山形酒田8、新潟63、新潟柏崎88、金沢8‥のように、本来は積雪が少ないとされる沿岸地域だが、シアライン(JPCZ)の東端に《狙い撃ち》された中越は記録的な大雪を見舞っている。豪雪地が名を連ねる内陸部でも‥山形肘折230、福島只見142などがある一方、新潟津南33、福島桧枝岐28、群馬みなかみ1‥のように《大雪が同じ気流場から集中的に供給された影響》を見ることが出来る。下図は20日の最深積雪。

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下図は12月19日12時の地上天気図にJPCZのシアラインを上書きしたもの。朝鮮半島付け根付近の白頭(ペクトゥ)山塊で分流した北西モンスーンが日本海西部~中部で収束し形成されたシアラインが「等圧線の窪み」で表現されている。北陸沿岸に達したJPCZの東端は《北陸不連続線》などと呼ばれる。

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下図はJPCZ東端付近の同時刻の可視画像。日本海西部では北西‐南東だったシアラインの走向は、東端付近ではほぼ西‐東になっている。シアライン上の雲は始めは下層雲、まもなくCuへと発達し、東端付近ではCg(雄大積雲)に成長している。

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下図は12月19日09時の500hPa高層天気図。日本海はトラフの前面にあって広く正の渦度移流場になっている。トラフの後面にはサーマルトラフも控えており、日本海はシアライン上の上昇気流が強化されやすい(=背の高い雪雲の形成に好適な)環境だった。

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■より大きな場の状況(負の北極振動)は強化

下図は北半球の500hPa高度について、12月12~16日の5日間平均高度を等高度線で、5日間平均高度の平年差寒色(負偏差域)および暖色(正偏差域)で表現したもの。同18日以降の大雪をもたらした深いトラフが東経120度付近に控えている。

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全般を俯瞰すると‥北半球の中緯度は、3つの深いトラフ(ユーラシア極東・北アメリカ・ヨーロッパ西部)と3つの逆位相を伴ったリッジ(太平洋東部・カナダ東部・中央アジア)で構成されている。極東域に象徴される深いトラフは、図のようなブロッキングパターンの際によく出現する。上空のトラフが深くなれば、その後面に対応する大陸の地上高気圧(高圧部)の中心は華中付近まで南下し、いわゆる《西回り寒気》となる(19日12時の地上天気図👆を参照)。

越年が確実な負(-)の北極振動ブロッキングパターンとリンクしており、22日から始まるXmas寒波も上空の深いトラフに対応して西回りに寒気が侵入する(下図)。500hPa高緯度の高圧部は前回よりも強まり(図は追記に添付)、極東への上空寒気の供給も強化されている。ピーク時(=寒気の底)には秋田付近の500hPaにマイナス40℃以下の寒気が南下する見込みで、寒気レベルは前回より強く、影響を受ける範囲は広く期間も長い。寒気場が強くて大きい分、山沿い・山間部の広い範囲で(今回は津南や桧枝岐、みなかみも‥)大雪になりそうだが、JPCZの矛先に狙い撃ちされる平地(山陰~東北南部)の局地的短時間豪雪には再び《大規模停電》や《大渋滞》の不安が付き纏う。

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〔最終更新:2022年12月22日11:00〕
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2022年12月13日

2023年冬は豪雪か?

上空のブロッキングリッジが逆位相となって長期化(いわゆる「ブロッキング」)すると、偏西風帯の中緯度では、気流と共に寒気も東進を妨げられ一塊(ひとかたまり)になって更に強い寒気団へと成長する。寒候期の北半球ではブロッキングは太平洋と大西洋に形成されやすく、必然的に強い寒気団はユーラシア極東と北アメリカ北部に現れやすい。さて今冬は‥


■大西洋のブロッキングが解消しないことには‥

下図は2022年12月11日21時の北半球500hPa高層天気図。バイカル湖付近には-48℃以下の寒気コアを伴うサーマルトラフがあり、これが14日(水)以降、日本付近に本格的な雪を降らせる。本図を見る限り、逆位相を伴ったブロッキングは大西洋に認められる。寒気の本体は北極付近にある極渦で、バイカル湖付近の寒気はそこから分派したようにも見える。

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しかし、そこから数日遡ると様相はまるで違っている。下図は(4日前の)12月7日21時の北半球500hPa高層天気図。逆位相を伴ったブロッキングは太平洋と大西洋にあり、極渦はユーラシア極東と北アメリカ北部に二極化していた。北極付近は逆に高圧場になっている。

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つまり、この間(12月7~11日)、太平洋上空で逆位相が解消し東西流が回復しつつあった一方、大西洋上空で常態化しているブロッキングによって北アメリカ北部の極渦が東進を妨げられ、ユーラシア極東の寒気団に“加勢”するように北極へと移動を始めたのだ。おそらく(加勢する)寒気は来週早々の襲来になるだろう。当地のような北日本の日本海側にとっては迷惑千万と言うより他ない。

ところで12月7日の上掲図ではセイロン島付近にTropical Cyclone“mandous”に対応した低圧場が描かれている。一般にサイクロンや台風のような強い熱帯擾乱は局地的にハドレーセルの鉛直循環を強めるので、その北上によって更に北側を流れる偏西風帯を押し上げ「うねり」発生の一因になるとされる。風下の日本付近にとって、この「うねり」は寒気の南下を強めることにつながる。さて、ご愛読各位は7日と11日の偏西風帯に「違い」を見い出すことが出来るだろうか(念のため5700m線を強調)。

■年内は負の北極振動で経過の見込み

NOAA・CPCによる北極振動のチャート(実況&アンサンブル予想)によると、2022年12月はこれまでもこの先もずっと負(-)の領域に沈んだまま‥らしい。負の北極振動では『極域が低気圧、中緯度が高気圧』という平年の相対的関係が逆転しており、結果として断続的な中緯度への寒気の南下が起こりやすい

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■この冬が豪雪になる前兆も‥

強い寒気が襲来する前触れとして当地のような日本海側には必ず雷注意報が発表される。それが今日(12月13日)は雷注意報に加え竜巻注意情報も発表された。

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2005年のクリスマス、山形県庄内地方のJR羽越線を走行中の『特急いなほ14号』冬の積乱雲からの突風を受け脱線転覆した(死5,負傷32)。この痛ましい事故こそ2006年冬の豪雪‥つまり『平成18年豪雪』の前兆だった。

<特急いなほ脱線転覆事故と竜巻注意情報に関する過去ログ>


〔最終更新:2022年12月13日22:38〕
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2022年09月24日

台風上陸がらみのモヤモヤ解消

最盛期に910hPaを記録した台風14号(T2214,Nanmadol)は本土を縦横に舐めるように通り過ぎた。予報士界隈には風速の予想と実況のギャップが大き過ぎる‥気象庁の会見内容も含め表現が過大(大袈裟)だったのでないか‥などの意見もある。過大・大袈裟な表現は《マスメディアの大好物》だから、結果として《過去に経験のない‥的文言》ばかりが連呼・喧伝・拡散されてしまい、せっかくの連休に無用のキャンセルを強いられたユーザーも多かっただろう。


■社会全体が計画的に対応する時代

自然災害に対する《国土の強靭化計画》はメディア報道でも屡々伝えられるが、ハード面は遅々として進まぬ一方で、台風の接近・上陸を見込んだ《計画休業》・《計画運休》・《ダムの計画放水》‥などの《計画〇〇》は既に社会に定着している。特に計画的な休業・運休は運営法人の損益を超えて社会活動を左右する“大問題”にもなりかねず、精度の高い台風予報があって初めて実施が可能になる

然らば、台風予報の精度評価についても《官(省庁)》・《学(研究機関)》のみによる検証では《産(産業)》からの視点や課題が取り残される恐れがある。

自前の静止気象衛星が無かった50年ほど前まで遡れば、日本の台風観測は富士山頂などの気象レーダーによる「直前の予報」に頼らざるを得ず、社会は専ら《臨時〇〇》で凌いでいた(「ひまわり1号」の運用は1977年)。


■上陸と通過、最低気圧と中心気圧、ドボラック法

《台風の強度》を表す指標に《中心気圧》と《中心付近の最大風速》がある。台風14号(以下「T2214」で統一)の上陸に先駆けてメディアが連呼した『過去に経験のない‥』も《上陸時の台風強度予想》に基づいていた。気象官署が観測したT2214中心付近の最低気圧としては屋久島の932.2hPaおよび鹿児島の940.6が知られる。一方、台風情報は各々が観測された時刻に近い正時の中心気圧として前者:930hPa、後者:935hPaを発表した。このうち屋久島は島嶼[とうしょ]なので932.2hPaは台風の中心が《通過》した際の最低気圧となる。つまり『台風の通過』というアナウンスは台風の中心が横切らなければ使用できない。これに対し《上陸》は台風の中心が『本土(本州・北海道・四国・九州)』に達した時に使用される。

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ということでT2214の『上陸時の最低気圧』は鹿児島の940.6hPaになりそうだが、統計上は中心気圧の『935hPa』が用いられる。海上で発生し最盛期を迎える台風は《静止衛星データを中心にした解析》に勝る手法はなく、T2214上陸時の中心気圧(935hPa)も《ドボラック法など静止衛星画像の解析による統計的手法》から求められている。最近はマイクロ波による強度解析やラピッドスキャンによる自動解析も試みられているという。

実測という視座に拘れば、航空機が毎度《台風の眼》の上からドロップゾンデを落下させる手法が望ましいのだろうが、そのような予算は昔から用意されていない。要するに‥アメリカ軍のお零れに与っていた訳で、その《タイフーン偵察飛行》も1987年8月に終了した。《航空機による台風観測》はメディアが特集を組むくらいの特別(←経費負担の大きい)観測で、台風の定常観測は『静止気象衛星ひまわり』で行われている


■室戸台風・枕崎台風‥《20世紀台風》の超絶パワー

前章に挙げた屋久島・鹿児島の《2つの気圧値》は、ともに台風情報に発表された画像解析値(930hPaおよび935hPa)の方が地上観測値(932.2hPaおよび940.6hPa)よりも《低い値》になっている。当ブログではT2214の接近に際し、枕崎台風(1945年)を引き合いに注意喚起したが、気象庁サイト内の資料『上陸時(直前)の中心気圧が低い台風』に室戸台風(1934年)・枕崎台風の地上観測値とT2214を加筆すると以下のようになる。
⇒⇒⇒上陸時(直前)の中心気圧が低い台風(気象庁|外部リンク)

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今後T2214は935hPaをもって『4位タイ』にランクされるのだろうが、これでも《21世紀台風》としては初のランクインとなる。もし、室戸台風や枕崎台風に画像解析値があったなら‥上陸時の中心気圧はどのような値になったのだろう。


■中心気圧と中心付近の最大風速の相関

台風強度の指標である《中心気圧》《中心付近の最大風速》には理論上、強い相関がある。事実、台風情報では中心気圧が低い台風ほど中心付近の最大風速は大きい。しかし、台風が通過もしくは上陸した地上で観測された中心気圧と最大風速の相関は、必ずしも強くない。下図は、T2214が屋久島を通過した2022年9月18日の同気象官署における気圧と最大風速の10分値の推移。

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台風の眼が通過した13:00付近をV字谷の底にしたような気圧変化(赤)に比べ、風速変化(青)は何かの間違いじゃないか‥と思うほど非対称で歪んでいる。特に中心付近の最大風速は、台風の眼が通過した直後の《吹き返し》では不明瞭だ。このような風速変化の原因は、高角の円錐形に近い屋久島における気象官署の位置が影響しているのだろう。本事例は極端だったが、このように地上に吹く風は地形や土地利用など《地表面との摩擦の影響》から逃れることが出来ない。摩擦の影響が無くなる高度は1000mとされ、風速計ごときの高さでは解消されない。まして気圧も観測している気象官署は市街地にある場合が多く建蔽率も高い

台風上陸時に観測される「各地の最大風速」は地表面‥即ち《気層最底辺の実測値》であり、台風情報に記される「中心付近の最大風速」は静止気象衛星‥即ち《宇宙から観た雲の動き》に基いて算出している。其々の最大風速値に差が生じるのは寧ろ当然のことだ。


■予報の目的は‥国民の生命と財産を守る

以上の視点を踏まえた上で改めて台風予報を読み返すと、実況値は勿論のこと、強度の予想も決して大袈裟ではないことが分かるだろう。例えば《台風の大きさ》の目安となる《強風域》では、必ずしもその範囲で風速15m/s以上の風が観測される訳ではないが、元々強風域は『‥地形の影響などが無い場合に(15m/s以上の風が)吹く可能性のある領域』と定義されている。自然科学的に可能性のある事象を発表して注意・警戒を促す‥それが予報だ。

予報の目的は他でもなく《国民の生命と財産を守る》こと。下図は前出の『上陸時(直前)の中心気圧が低い台風(+室戸・枕崎・T2214)』について人的犠牲を調べたもの。

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言うまでもなくT2214の人的犠牲は桁違いに少ない。しかし《複合災害の権化》たる台風の人的犠牲を顧みると、被爆直後の襲来(枕崎台風)、記録的高潮(伊勢湾台風)、連絡船沈没(T5415,洞爺丸台風)、大火(T5415,T5522,T5609,T5612‥)など、我々は襲来当時の弱点を突くような想定外の犠牲を被り続けてきた。国民の暮らしや行動の多様性が増す限り弱点の領域》も拡散し続けるに違いない


〔文献〕
・大西晴夫,伊東譲司,2010:台風特論 講義ノート,日本気象予報士会

〔記事公開:2022年9月24日11:52〕
〔最終更新:2022年9月24日12:30〕
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posted by twisterさとう at 11:52| 山形 ☁| Comment(70) | ◆特集:台風(Typhoon) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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